シャワーで油性ペンを落とすCMをご覧になったことがありますか?
特殊な洗剤をつけたわけではなく、ごく微小な泡を含む水またはお湯が出てくるシャワーによって油性ペンのインクが肌から浮き上がり、水とともに流れ落ちる驚きのCM。
最近、ファインバブルやウルトラファインバブルと呼ばれる ごく微小な泡の力が着目されています。
※ファインバブルはとても小さい泡で、直径が100μm(=0.1mm)より小さなものが当てはまります。
こちらの記事では、言葉の意味や様々な業界での活用状況についてご紹介します。
目次
ファインバブルの効果には、こんなものがある!
ここ数年、家庭用のアイテムにも取り入れられているファインバブルについて、自身の体験やユーザー様の口コミなどから、ファインバブルの効果をまとめます。
効果1:やっぱり、これが一番!油汚れまでしっかり落ちる!
ファインバブルによって、皮脂汚れやお皿に付着した油汚れなどをしっかり落としてくれます。
アイテム |
効果 |
シャワーヘッド |
皮脂汚れがしっかり落ちる |
キッチンの蛇口 |
油汚れがしっかり落ちる |
洗濯機 |
衣類の汚れがしっかり落ちる |
石鹸が少なくてすむ
特にシャワーヘッドを使ったときに体感しているのが、「シャンプーの泡立ちの良さ」です。
ファインバブルのシャワーを使うと、シャンプーをつける前の段階で、従来のシャワーに比べて汚れが落ちるようになったのかなって思っています。
水が少なくてすむ
ファインバブルの含まれる水を使うと、通常よりも少ない水で汚れを洗い流せるので洗浄に必要な水が少なくて済みます。
また、シャワーヘッド等ファインバブル製品を取り付けると、ファインバブルを発生させるための構造上、シャワーヘッドから出てくる水が減ることになるため、そこでの節水効果もあります。
シャワーの水圧が強めなのがお好きな場合は、蛇口や元栓をゆるめて好みの水圧で利用することも出来ます。
酸素のファインバブルにすると、こんな効果が!
企業では、ファインバブルの泡を空気(酸素:窒素≒2:8)ではなく酸素で形成したファインバブルを利用しているところもあります。
植物が早く元気に育つ!
酸素がたくさん含まれた水を植物に与えることで、植物の成長が早くなるそうです。
さらに、酸素+乳酸菌で、植物の成長促進だけでなく、植物の病気や害虫による被害を減らす効果もあり、そちらをハウス栽培に導入されている農家も増えてきています。
魚が元気に育つ!
酸素によるファインバブル水を使って養殖すると、養殖魚の成長促進や養殖場の水質の改善に役立ちます。
窒素のファインバブルにすると、こんな効果も!
窒素で形成したファインバブルを利用しているところもあります。
窒素ガスを含んだファインバブル水は、窒素ガスでつくったファインバブルを多く含み、空気で作ったファインバブル水よりも酸素濃度が低いのが特徴です。
酸化を防いで、鮮魚を届けられる!
通常は水中に酸素が溶け込んでいるため、約1日前後で魚の鮮度が落ちてお刺身用としては販売出来なくなります。
ですが、窒素ガスのファインバブル海水に浸けて輸送することで、鮮度を保てるそうです。
酸素の少ない海水になるため、鮮魚の酸化がゆっくりになるんだとか。
珍しいお魚などを新鮮なお刺身用として手元に届けていただけるのはうれしいです。
お魚が生きているときは酸素の含まれたファインバブル水で育て、しめた後は窒素のファインバブル水に浸けることで、魚の養殖にうれしいことがたくさんあります。
ファインバブル水、大活躍ですね^^
メカニズム:ミクロにみると、ファインバブル水の中では こんなことが起こっている!
界面活性作用:近くにある物をくっつける力
ファインバブルの泡の表面は帯電しているので、ゴミや汚れを吸着します。
静電気がくると、ほこりがくっつきますよね。帯電、電荷を帯びるのはその現象のようです。
衝撃作用:近くにある物を吹き飛ばす力
ファインバブルの泡がはじけるときに、とても大きな衝撃波(圧力差)を生み出します。
その大きな力によって、水中の小さな物を吹き飛ばしたり、浮き上がらせたりします。
ガス貯蔵作用:水の中に長く気体を保つ力
ファインバブルの泡はとても小さくて、長い時間水中に留まります。
状況次第では、年単位で空気や気体(ガス)が水中に留まり続ける事例もあります。
ファインバブルの泡がとても小さいため、熱運動によって振動している水の分子とぶつかることでファインバブルの泡が上下左右に不規則に揺れ続けます。(ブラウン運動)
それほどに小さい泡なので、なかなか水中にたどり着けずに長時間水中に気体が留まります。
空気や酸素など有用な気体を細部にいきわたらせることで、植物や生き物の成長などを促進しやすくなります。
ファインバブルを活用されている分野
様々な産業分野での活用が始まっており、各所で安全性についても検証がすすんでいるそうです。
ファインバブル産業会(FBIA)では、空気によるファインバブルについて、安全性試験を実施しています。
単回投与毒性試験では、4.6億個/mL以上のファインバブル水20mL/kgをマウスに経口投与して毒性を認めませんでした。
工場などの産業分野
「頑固な汚れを落としたい」とか「洗浄にかける時間を削減したい」という場合などに、ファインバブルを活用した洗浄が導入されています。
農業分野
ウルトラファインバブルを活用することで、作物の根の酸欠状態を防ぎ、作物が元気に成長したり、たくさん採れたりしています。
飲食業界
ウルトラファインバブルを含む水に浸けることで、水揚げされた鮮度を長時間保持する最新技術によって鮮魚を届ける仕組みが流通で活用されています。
また、厨房向けのファインバブル製品を導入することで、「少ない水量でグラスや食器の洗浄状態が向上した」など、節水効果がいち早く確認されています。
今回の実証実験によって、節水性能を確認したことに加え、従業員アンケート結果から、少ない水量でグラスや食器の洗浄状態が向上したことがわかりました。
又、従業員からは、「什器に輝きがでて綺麗になった(特にシルバー類)」「油汚れが容易によく落ちる」「油のぬめりが以前より短時間での洗浄でなくなりました」等の声がありました。
環境分野
ウルトラファインバブルの活用によって菌やウイルスの増殖を抑えるなど、殺菌・除菌に活用されています。
他にも、水などの液体の洗浄力をあげるために用いられています。
特に、油汚れの除去効果は様々な実績が出ているようで、油分や異物に気泡がくっついて、汚れを取り込んだ気泡が水中に動いていく際に汚れも一緒に除去したりします。
美容分野
ウルトラファインバブルの洗浄作用により、通常では洗い流すことのできない汚れや皮脂を取り除くことができるため、サロンなどでの導入実績も多くなっています。
近年、自宅用のシャワーヘッドや浴室にもファインバブルの出る商品が出てきています。
我が家ではファインバブルのシャワーヘッドが出てきた初期のころより使っており、現在三代目です。
ペット分野
ウルトラファインバブルを含んだお湯のでるシャワーは、優しいミストなのに、水と空気の力だけで汚れを落とせるので、皮膚の弱いペットや、シャワーを怖がるペットを飼っていらっしゃる場合に喜ばれています。
もっと詳しく知りたい方へ。そもそも、ファインバブルって何?
ファインバブルはとても小さい泡で、直径が100μm(=0.1mm)より小さなものが当てはまります。
泡のサイズで名称が分かれている
さらに、泡のサイズによって次のような名称で呼び分けられています。
呼び方 |
泡のサイズ |
マイクロバブル |
直径1μm~100μm |
ウルトラファインバブル |
直径1μm未満 |
これらのマイクロバブルやウルトラファインバブルを合わせて「ファインバブル」と呼ぶことになっています。
ファインバブルの見た目の違い
マイクロバブルとウルトラファインバブルには、見た目にも違いがあります。
マイクロバブル水
ウルトラファインバブル水
マイクロバブルを含んだ水は、白っぽく濁っていて、時間とともに水に含まれる気泡がゆっくりと上へと浮かび上がり、やがて気泡は水表面より空気中に逃げていきます。
ウルトラファインバブルが溶け込んだ水は透明で、刺激のない環境下では気泡は、水に溶けたり表面に浮かび上がったりしません。
そのため、数週間~数カ月間、バブルが水中に留まり続けたという報告もあるようです。
今後、こんな広がりをみせると言われている!
すでに様々な分野で実績がある技術
チェックの厳しい産業分野や飲食店業界などでも、実際に活用されているファインバブルの技術。
だからこそ、ご家庭内の商品としてラインナップされているものも安心して利用できます
特に、家庭用のシャワーやキッチンに取り入れられている商品は、泡の部分は空気です。
つまり、水の力に空気の力をプラスして洗浄力をUPしているので、安心です。
国内だけでなく海外においても普及がすすんでいる
日本国内だけでなく世界的に、ファインバブル技術の普及が進んでいます。
今後も高い成長率で市場が大きくなっていく予測が出ています。
ファインバブル産業の市場規模推移
こちらの調査などによりますと、ファインバブルを発生させる機器などのコア技術にとどまらず、様々なサービスやシステムとして発展していく事により、上記の市場規模予測が出ているそうです。
実際に多くの企業で、SDGsや地球環境保護の問題に対応したファインバブルの活用等に積極的に取り組まれています。
例えば、洗剤を使わずに水質や土壌を綺麗にしていく技術は世界各国で使われ始めているとのこと。
家庭用としても、すでに製品のあるキッチン・シャワーヘッド・洗濯機などだけでなく、今後はさらにトイレや洗面所、外壁などの洗浄など、水を用いるあらゆる部分にファインバブルの技術が活用されそうです。
わたしたちの暮らしが、どんどん快適なものになっていくような気がして、とても楽しみです。